画像は駅で見かける注意書きのサインです。日本語の表記に加えて、英語表記とピクトグラムが併記されています。
注目したいのは、英語表記の前置詞です。中学生でも知っている"from","for","over","against"が用いられていますね。電車の待ち時間に『なぜこれらの前置詞なのか?』を考えてみるのも英語学習におすすめです。
さて、日本語には存在しない英語の品詞のひとつに前置詞があります。中学から本格的に英語が始まって、早い段階で"in", "at", "on", "with"などが登場します。
中学生のみなさん、これらを「~の中に」、「~に」、「~の上に」、「~と一緒に」などと和訳で暗記しようとしていませんか?
和訳で前置詞を処理すると以下のような誤った英文を書きがちです。
問1「彼はその戦争で亡くなった。」
誤)He was killed by the war.
正)He was killed in the war.
"in"は空間や領域や抽象的な状況などの中を指す前置詞です。
"by"を「~によって」との和訳で認識している人が多いと思います。"by"は、動作主や手段を表します。受動態で"by"が使われるのも動作主だからですね。
この場合、戦争が動作主となって彼を殺したわけではありません(彼を殺したのは敵の兵士や武器のはず)。「戦争」という状況の中で亡くなったことを指しているので、"in"が適切となります。
問2「今、私はお金を持ち合わせていません。」
誤)I have no money.
正)I have no money with me.
誤)の英文自体が文法的に誤っているわけではありません。この2つの英文は意味が異なります。違いが分かるでしょうか?
"with"は身につけた状態や主語に伴った状態を表します。"with me"がつくことで「今、私は手持ちのお金をもっていない」ことを表します。手持ちのお金はないけれど、銀行口座にはたっぷりお金を預けているかもしれません。一方で、"with me"がつかないと、お財布にはもちろん、銀行口座にもどこにもお金をもっていない状態を表します。
問3「ハエが天井にとまっていた。」
誤)The fly was under the ceiling.
正)The fly was on the ceiling.
ハエと天井の位置関係は、天井が上でハエが下となりますよね。そこで、"under"を「~の下に」とインプットしている人は、誤)の英文を違和感なく書いてしまうかもしれません。
『でも、"on"は「~の上に」じゃないの?』 と思った方、和訳の穴にはまっていますよ。"on"は対象の物体に接触した状態を表します。したがって「~の上に」だけに限らず、壁や天井に接している場合も"on"となるわけです。
「壁掛け時計」は、"a clock on the wall"、「(誰かが)机の裏につけたガム」なら"a chewing gum on the bottom of the desk"となります。
前置詞は群動詞の一部にもなります。前置詞がもつイメージやニュアンスを掴んでいれば、たとえば『dependに続く前置詞は何だっけ?』と悩まなくて済みます。前置詞を学ぶ際は、単語ノートに和訳を書く作業からイメージ図を描く作業へ変えてみましょう。